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ネット上で話題となっていた香川県の「ネット・ゲーム依存症対策条例(議案)」だが、3月18日に県議会で可決され、4月1日から施行される。

本条例では、18歳未満がコンピューターゲームで遊ぶ時間を平日は60分、休日は90分とすることが明記されている。しかし、これは努力義務であって罰則規定などはない。

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本条例についてネット上では「制限は家庭内で決めるもの」、「行政が介入すべきではない」といった反対意見が数多く投稿されていたが、その一方で「親がコントロールするのは難しいので、行政が目安を設けるべき」といった賛成意見も少なからず見受けられた。

本条例が制定された背景には、コンピューターゲームの過剰な利用によって、子供の学力低下や睡眠障害などの問題を引き起こすことが指摘されていることに加え、WHOが「ゲーム障害」を疾病と認定したことなどがあげられる。

確かに、世界ではゲームのやり過ぎによって亡くなったというケースがいくつか報告されており、ゲームのやり過ぎによって学業や心身、人間関係に悪影響がでたという話も耳にする。
しかし、ゲーム障害の定義や基準はそれほど明確ではなく、実際にゲーム障害と診断される人がどれほどの数いるのかも定かではない。

また、本条例によってゲーム障害に関する世間の関心が高まる一方、いまやゲームは遊びにとどまらず、ひとつのスポーツとして認知されるようにもなってきている。それが、e-sportsだ。
昨今では、賞金総額が数億円規模の大会が開催されることもあれば、ゲームを仕事にするプロゲーマーも数多く誕生している。

〈2〉
では、なぜ時代の流れと逆行している本条例が正しいといえるのか。
その根拠といえるのが、2019年11月に国立病院機構久里浜医療センターが10代、20代男女を対象におこなった「ゲーム障害」についての実態調査だ。
本調査ではゲーム機に加え、パソコンやスマホでのゲーム利用も含まれているが、これによるとゲームの利用時間は平日・休日ともに「1時間未満」や「1時間以上2時間未満」と回答した人が多い一方、「6時間以上」と答えた人も一定数おり、その割合は平日よりも休日のほうが圧倒的に多かった。

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そして、「6時間以上」と回答した人は「学業や仕事に悪影響が出てもゲームを続けた(24.8%)」、「目の痛みや頭痛などといった体の問題を引き起こしていてもゲームを続けた(40.5%)」、「睡眠障害や憂鬱などといった心の問題が起きてもゲームを続けた(37.2%)」など、学業や仕事、心身に不調を感じてもゲームをやめられない傾向あることが分かった。

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よって、ゲームの利用について何かしらの制限を設けるのはむしろ妥当であり、本条例で明記されているゲーム利用時間もそれなりに適正なものではないかと思う。

また、本条例とe-sportsを関連付けて考えている人が多数見受けられるが、ゲームの技術を上げるのは"時間"ではなく"質"だと私は考える。
どんなにゲームを長時間遊ぼうと、楽しむことだけを目的に遊んでいれば、プロゲーマーになるだけの知識や技術は何も得られない。
FPSであれば、自分のプレイスタイルや癖を把握するのはもちろん、武器やスキルなどのバランスを考慮した装備を整える必要があり、マップ研究なども重要になってくる。
以上のことから、本条例によってe-sportsになにかしら悪影響が生じるとは考えにくいのではないだろうか。

〈3〉
ここまで長々と書いてきたが、かくいう私も本条例は完璧ではないと思っている。
それは、"遊べない時間"ではなく"遊べる時間"を明記したということだ。
確かに、"遊べる時間"を決めるというのは大切なことだ。しかし、それによって他のことよりもまずゲームを優先させて行動してしまっては意味がなく、なにより日をまたいでのゲーム利用となれば睡眠時間も削れ本末転倒である。
なので、本条例を撤回しろとはいわないが、より意味のある内容にするべきだと私は思う。
また、すでに述べているようにゲーム障害の定義や基準はそれほど明確ではないため、より多くの検証や調査を行っていくべきではないだろうか。


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以上ノシ