ラストオブアス2


多くのレビューサイトでPS4最高傑作と呼ばれた「ラストオブアス2」をクリアしたのでクリアした感想を書いていきたいと思います。感想を書くにあたってどうしてもシナリオに触れないわけにはいかないのでこの記事にはネタバレが含まれています

 

メタスコア

この記事を執筆している6月22日現在、メタスコアは95点、ユーザースコアは3.9点となっています。レビューサイトで高得点を取っているのにユーザースコアが低くなっている原因についても触れたいと思います。


ゲームは最高に面白かった
多くのレビューサイトで高得点を取っているだけあってゲームは面白かったです。特にキャラクターが歯を食いしばる瞬間はテストプレイでプレイヤーが歯を食いしばる瞬間を反映させているとインタビューで語っていたように、自分自身がゲームのキャラクターとなって実際にその世界で戦っているような没入感がありました。モブとの戦闘ひとつ取ってみても油断していると殺されてしまうと言う緊張感もあり最高にのめり込めるゲームだと思います。ストーリー重視のゲームでも一区切りついたところでゲームを中断する機会はあると思いますがやめ時を見失うほどでした。

あえて文句をつけるとすればAIの判定が甘いと言うところです。ステルスで敵と戦闘をしていて味方が敵の目の前を横切っても気づかなかったり、敵に見つかってステルスでしばらく潜伏していると味方が殺されたことも忘れたかのような振る舞いをしたりするとやはりゲームの限界を感じます。これはラストオブアス2に限った話ではなく今のゲーム全般に言えることで、他の部分で優れているゲームなので些細な問題です。

ゲーム性は非常に優れた作品ですのでレビューサイトで高得点がつけられるのは頷けます。減点方式で採点した場合ほとんど減点する要素がありません。レビューサイトで低評価をつけることは逆張りと言われても仕方ないと思います。

では、なぜユーザースコアが低かったのか。それはファンのプレイしたかった続編ではなかったからです。ユーザースコアはレビューサイトのレビューと違って個人的な感情が占める割合が多く、どんなに優れたゲームシステムであっても、キャラクターが気にいらないとかシナリオが気にいらないなど一点でも大きなマイナスポイントがあった場合、論理的な評価ではなく感情的な評価になりやすいからだと思います。純粋にゲーム性だけで評価した場合ラストオブアス2が0点になることは考えられません。それでもユーザースコアは平気で0点を点けます。

 

前作ラストオブアスはエリーとジョエルの物語でした。ラストオブアス2で期待されていたものは成長したエリーとジョエルの物語だったはずです。ファーストインプレッションで書いた通り、私はエンディングまでのシナリオは知っていますが前作をほぼ未プレイです。ですので、前作をプレイしたファンとは違ってラストオブアス2をプレイするまでエリーにもジョエルにも特別な感情はありませんでした。そういうこともあってラストオブアス2をクリアした今でも最高のゲームだったと言えます。

次の項目からネタバレを含んでいます。



シナリオの評価
ユーザースコアではシナリオが悪かったと言われています。ここでも感情的な評価になっています。一口に悪いと言っても、物語が破綻している、自分の望んでいた物語ではなかったなどあると思いますが、ラストオブアス2は後者です。前述した通りファンの望んでいる物語ではなかったのです。

ラストオブアス2は復讐をテーマにした物語です。この復讐は単純にエリーの復讐だと思っていたプレイヤーも多かったと思います。私もプレイするまではエリーの復讐だと思っていましたし、キャラクターがエリーからアビーに変わった時、違和感しかありませんでした。物語前半でエリーに感情移入していたので、宿敵であるアビーを操作することは違和感を通り越して不快でした。まだ歴戦の戦士ではなく十代のあどけなさの残るアビーの恋や父親とのやり取りを見ても心が動かされることはありませんでした。なんなら、「正義は見方によっては悪にもなる」と言う浅はかなメッセージも感じられ急に物語が陳腐に感じられました。映画やドラマならここで見ることをやめてしまったかもしれません。そこはゲームの優れているところでアビーに嫌悪感を感じながらも、ゲームならではの惰性でプレイしているうちにアビーの内面も見えてきます。

アビーは決してユーザーに好かれるキャラクターではないと思います。男性の兵士よりも体格もよく表情も発言もふてぶてしく、キャラクターとして憎まれることはあっても好かれることはないでしょう。私も最後までアビーに感情移入することはできませんでしたし、アビーに魅力を感じることはありませんでした。でも、そんなアビーをプレイすることでWLFにもスカーにもそれぞれ信じるものや生活があって単なる悪役と言うだけでなくリアルな人間だと言うことを感じられるはずです。また、アビーとの対比でエリーも非力な少女ではなく卓越した戦闘技術を持った優秀な兵士だと言うことが見えてくるのです。

もちろん、別の展開も考えられただろうし、同じシナリオだったとしてもエリーだけをプレイアブルキャラクターにしていればユーザースコアももう少し高かったように思います。個人的な趣味でもハッピーエンドや、スカッとした物語が好みではありますが、ラストオブアス2のように見終わった後にむなしさの残る物語も嫌いではありません。世界観的にもハッピーエンドや、スカッとした物語になってしまってもそれこそ嘘くさい物語になってしまうのでこれはこれで有りな気がします。

誰もが農場でエンディングだと思ったと思いますが、その後も長々と物語が続いていたのも個人的にはよかったです。農場で終わっていたらユーザースコアは高かったかもしれませんが、レビューサイトのスコアはもっと低かった気がします。農場で終わった場合、スカッとした終わり方ではないですが後味もそれほど悪いものではなかっただろうしユーザーもそれなりに納得できるような終わり方になったのではないでしょうか。しかし、そこで終わってしまったら「復讐はなにも生まない」と言ったような安っぽいテーマの押しつけで終わってしまったように思います。


更新:「ハッピーエンドやすかっと」を「ハッピーエンドや、スカッと」に変更しました。