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〈1〉
先日、App Store、Google Playにて配信されていたスマホ版「フォートナイト」が両ストアのガイドラインに違反したとして削除された。

ガイドライン違反となったのは、両ストアの手数料を回避するため、Epic Gamesが先日導入したゲーム内課金システム「Epic ディレクトペイメント」だ。

App Store、Google Playでゲーム内アイテムが購入された場合、その売上の30%は手数料としてApp Store、Google Playに徴収されていたが、「Epic ディレクトペイメント」はそもそもApp Store、Google Playを介さないため、サービス手数料が発生することはなく、その分(最大20%)をユーザーに還元できるのだ。

しかし、App Store、Google Playはストアを介さないゲーム内課金を認めていないため、「Epic ディレクトペイメント」がガイドラインに違反しているとし、ストアから「フォートナイト」を削除した。

これに対し、Epic Gamesはパロディ動画の公開や「#FreeFortnite」というハッシュタグの拡散に加え、独占禁止法違反であるとしてAppleとGoogleを提訴した。

Epic Gamesのこの一連の行為に対し、Appleとの手数料支払をめぐって因縁のあるSpotifyがEpicを支持する声明を発表したほか、FacebookもAppleのサービス手数料について不満をあらわにした。

一方、ネット上ではEpic Gamesのこの一連の行為について、「Appleの30%の手数料は高すぎる」といった声が上がっている一方、「規約違反をしている方が悪い」といった声も一定数上がっており、Epic Games支持者とApple、Google支持者との間で論争が起こっている。

〈2〉
では、Epic Gamesのこの一連の行為について賛否両論あるなか、なぜEpic Gamesが悪いといえるのか。

それは、Epic Gamesはスマホ版「フォートナイト」をApp Store、Google Playで配信しているからである。
App Store、Google Playで配信しているということは、逆にいえば配信させてもらっているということであり、配信させてもらっている以上、そのストアのガイドラインを順守するのは当然であるからだ。

また、ゲームを販売する以上、利益やユーザーの獲得は必須であり、その為にも大きなゲームプラットフォームで販売しようとするのは当然である。
しかし、Epic Gamesのこの一連の行為は、利益とユーザーを獲得するだけ獲得し、時期が来たから離れたといったようにしか捉えられない。

さらに、この騒動にユーザーを巻き込んだというのも批判されるべき点だろう。
案の定、これまでスマホ版「フォートナイト」を遊んできたユーザーのほとんどは、Epic Gamesのこの一連の行為を支持し、AppleやGoogleをのきなみ批判している。

以上のことから、批判されるべきはEpic Gamesであると私は考えるわけだが、もちろんAppleやGoogleにも批判されるべき点はある。それが、サービス手数料だ。

ただ、問題となっている30%の手数料は、PCゲームプラットフォームであるSteamはもちろん、コンソールゲームプラットフォームであるPSストアやニンテンドーeショップでも採用されており、この30%という割合は一般的かつ標準なものであるともいえる。
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※本画像は2019年8月31日時点のもの。

しかし、昨今ではゲームプラットフォームの多様化が進んでおり、その一方でゲーム開発資金の高騰が問題になっている。
だからこそ、いつまでもその当たり前を貫き通すのではなく、時代にあった徴収体型に変えていくべきではないだろうか。

〈3〉
このサービス手数料をめぐる争いは、SpotifyやFacebookの参戦、そしてユーザー間での論争の勃発によって、良くも悪くも事が大きくなってしまったわけだが、今後この争いがどのような方向に進んでいくのか。
そして、昨今激しさを増す米中対立によって、中国の大手IT企業であるテンセントを親会社とするEpic Gamesはどのような影響を受けるのか。
今後の行方に注目が集まる。

以上ノシ

記事:モアイ

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